耳鼻咽喉科の臨床現場において、近年特に警鐘が鳴らされているのが高齢者耳垢たまりやすい原因とそれに伴う認知機能への影響です。
加齢が進むと、皮膚のターンオーバー機能が低下して耳の自浄作用が著しく衰えます。また、外耳道内部の皮膚が乾燥して硬くなる一方で、分泌腺の機能変化によって耳垢自体が硬直化し、巨大な石のような塊になりやすくなります。さらに、高齢者では耳の穴を支える軟骨が緩み、外耳道が扁平に変形して狭くなることも排出を妨げる要因です。
「最近、親の耳が遠くなった」「会話の受け答えが噛み合わない」と感じて認知症や加齢性難聴を疑ったところ、耳鼻科を受診したら両耳に耳垢がびっしり詰まっていただけだったという事例は現場で頻繁に報告されています。耳垢を除去するだけで聴力が劇的に回復し、意欲や認知機能の改善が見られるケースも多く、シニア世代にとって耳垢管理はQOLに直結する重要課題です。