コンテンツの消費環境が激変するなか、映画産業およびエンターテインメント業界におけるキャラクター描写のトレンドも大きな転換期を迎えている。NetflixやU-NEXTに代表される大手配信プラットフォームが世界的なシェアを拡大したことで、従来のテレビドラマや劇場映画に求められていた「分かりやすい大声の感情表現」から、より微細な機微を描き出す演技へのシフトが加速した。
かつて東宝などの大手制作陣が手掛けた古典的な娯楽作においても、主役を食う存在感を放つのは常にどこか冷めた眼差しを持つサイドキャラクターであった。それが今や、長尺の配信シリーズ作品においてメインを張る時代となっている。世界の観客は、記号化されたステレオタイプの英雄よりも、葛藤を抱えながらもどこかひょうひょうと運命を受け流す複雑な人物像に真のリアルを感じ取っているのだ。