ネット上でも「あの美しいメロディの正体は何なのか」「誰が作詞作曲した曲なのか」と強い関心が寄せられています。同校が校歌として歌うのは、日本のプロテスタント教会で長年親しまれてきた日本基督教団『讃美歌』(1954年版)に収録されている『讃美歌393番』です。
讃美歌393番の原曲は、19世紀のアメリカで生まれた高名なゴスペル・ヒムです。作詞を手がけたのは女性詩人リディア・バクスター(Lydia Baxter)、作曲は数多くの名讃美歌を世に送り出したウィリアム・ハワード・ドーン(William Howard Doane)によるもので、原題は「Take the Name of Jesus with You」として知られています。
バクスターは病弱で生涯の多くをベッドの上で過ごしながらも、周囲の人々に信仰と希望の言葉を送り続けた人物でした。この曲の歌詞には、「どのような試練や悲哀のなかにあっても、慈愛の御名にすがり、希望を失わずに歩み続ける」という深い信仰告白が込められています。
学校法人聖隷学園のルーツは、昭和初期の1930年、結核が不治の病と恐れられていた時代に、クリスチャン青年であった長谷川保らが貧しい結核患者のために開設した療養所「ベテスダ保養所」に遡ります。自分を犠牲にして隣人に仕える「隣人愛」の実践こそが同校の原点であり、勝利に驕ることなく、また敗北に絶望することなく、常に他者への愛と神への感謝を忘れない姿勢が、この讃美歌393番の歌詞の意味と完璧に重なり合っています。