ネット上の簡易的なハウツー動画が広めた最大の誤解が、「ドライヤーで完全に髪を乾かした状態からワックスをつける」という手順です。ストレートヘアの立ち上げセットであれば完全乾燥が基本ですが、パーマヘアにおいて完全ドライ状態の髪に高粘度のワックスを直付けすることは最も避けるべきタブーといえます。
パーマのウェーブは、毛髪内部の水分が蒸発する過程で伸びて緩む物理的性質を持っています。完全に乾ききってカールがダレた状態の髪にワックスを擦り付けると、摩擦係数が跳ね上がり、ただでさえ傷みやすい毛先を強く引っ張って切れ毛や枝毛を誘発します。そればかりか、ムラづきの原因となり、頭頂部だけがベタついて毛先はバサバサという最悪のシルエットが完成してしまいます。
現場のプロが徹底している鉄則は、「タオルドライ後の水分残量20〜30%の状態」でスタイリング剤を馴染ませることです。シャワー後にタオルで水滴が落ちない程度までしっかり水気を取り、髪が湿り気を帯びて自然なカールが最も強く出ているタイミングで、手のひら全体に均一に伸ばしたワックスやバームを揉み込みます。毛髪内の水分とスタイリング剤のエモリエント成分が乳化するように馴染むため、摩擦ゼロで理想の束感が生まれ、そのまま自然乾燥または弱風ドライヤーを当てるだけでサロンと寸分違わぬシルエットが完成します。