ビール類の選び方を根底から揺さぶっているのが、国税庁主導で進められてきた「ビール酒税一本化」のロードマップです。かつて複雑を極めた日本の酒税体系は、2026年10月の第3段階をもって歴史的な終着駅を迎えます。
過去を振り返ると、1990年代にメーカー各社がビールにかかる高額な酒税(350mlあたり77円)を回避するため、麦芽比率を抑えた「発泡酒」を開発しました。これに対して国が発泡酒を増税すると、今度は麦芽を使わない「新ジャンル(第3のビール)」が開発されるという、いわゆる「いたちごっこ」の税制攻防戦が30年近く続いてきた歴史があります。
こうした不毛な開発競争と税収の歪みを解消するため、政府は2017年の税制改正大綱において「類似する発泡性酒類の税率格差を解消し、税負担の公平性を図る」ことを決定しました。2026年10月、2026年10月と段階的に税率の見直しが行われ、ついに2026年10月、すべてのビール類(ビール・発泡酒・新ジャンル)の税率が350mlあたり一律「54.25円」に統合されます。
この税制改正に伴う値段推移の影響は極めて甚大です。2026年以前は350ml缶1本あたり約50円近くあったビールと新ジャンルの店頭価格差は、2026年10月以降、流通コストや原料原価の差だけを反映した「15円〜25円程度」の僅差にまで圧縮されます。
税制上の優位性を失ったことで、大手メーカー各社も戦略の抜本的見直しを迫られています。従来の「安さ」だけを売りにした低価格商品は淘汰が進み、各社は「本格ビールの美味しさ」を訴求するプレミアム路線か、あるいは後述する「糖質ゼロ・プリン体ゼロ」といった健康付加価値路線へと開発資源を集中させています。