SNSやアニメ関連の大型掲示板、ファンミーティングの熱量を見渡すと、井上氏に対する評価は「イケメン声の象徴」にとどまらない広がりを持っています。
1980年代の『機動戦士Ζガンダム』におけるジェリド・メサや『美味しんぼ』の山岡士郎で見せた、人間臭いプライドや葛藤を抱えた青年役は、当時の若者層に強烈なリアリティを与えました。現代のSNSコミュニティでも「カカシ先生で声優という職業を初めて認識した」「子どもの頃は島村ジョーに憧れ、親になって子どもと一緒にニャンコ先生を推している」といった声が多く見られ、親子三世代にわたるファン層を自然に形成している点が特筆されます。
また、音響監督や演出陣の間でも「どんな無茶な要求でも、役柄の芯を外さずに複数のトーンを提示してくれる柔軟性」が高く評価されています。台本の行間にあるキャラクターの感情を的確にすくい取り、過剰な説明を排して耳に残るニュアンスを残す技法は、まさに長年の舞台経験や現場叩き上げのキャリアがもたらした賜物です。