釧路市丹頂鶴自然公園は、訪れる季節によって全く異なる表情を見せてくれます。なかでもリピーターや熱心な愛好家がこぞって照準を合わせるのが、5月中旬から6月にかけての「ヒナ(雛)誕生シーズン」です。
タンチョウの抱卵期間は約30日〜35日。春に産み落とされた卵から孵化したばかりのヒナは、親鳥のような白黒の羽毛ではなく、まるで子鹿や鴨の幼鳥を思わせる淡い茶褐色(シナモン色)の綿毛に包まれています。体長はわずか十数センチ。よちよちとおぼつかない足取りで親鳥の後を追い、親鳥が嘴(くちばし)の先で小さく砕いて与えるドジョウや小魚、昆虫を懸命に受け取る姿は、思わず息を呑むほどの愛らしさです。生後3ヶ月も経つと親鳥とほぼ同じ大きさに急成長するため、この無垢な綿毛の姿を目撃できるのは1年の中で初夏のわずか数週間しかありません。
対照的に、12月から2月の厳冬期には「静寂と躍動」が同居するドラマチックな光景が広がります。純白の雪原を背景に、頭頂部の鮮烈な赤色(クラウン)と漆黒の風切羽が際立ち、息を吐きながら高らかに鳴き交わす「コー、カッカ」というトランペットのような二重奏が冷気をつんざきます。時折見せる、翼を広げてジャンプする求愛ダンスや威嚇行動のダイナミズムは、寒さを完全に忘れさせる圧倒的な迫力を誇ります。