集英社が誇る『週刊少年ジャンプ』の歴史において、数々の金字塔的少年漫画が生み出されてきたが、『鬼滅の刃』ほど残酷な運命と家族愛を鮮烈に描いた作品は稀だ。不死川実弥と胡蝶カナエもまた、鬼によって愛する家族を奪われるという凄惨な過去を背負っている。
実弥は狂暴化した母を自らの手で倒さざるを得なかった絶望を抱え、カナエは両親を鬼に殺害され、幼い妹のしのぶとともに生き残った。肉親を奪われた痛みを誰よりも知る者同士だからこそ、二人は言葉を超えた深い部分で引き寄せ合っていたのだろう。他者に対して攻撃的な態度をとる実弥の防衛本能と、すべてを包み込むようなカナエの慈愛。対極にある二人の佇まいは、互いの欠けた心を埋め合わせるパズルのようでもあった。