志村けんの歩みを語るうえで、加藤茶の存在を外すことはできない。グループ「ザ・ドリフターズ」の付き人から彗星のごとくメンバーへと昇格した若き日の志村を、誰よりも近くで支え、引き立てたのが加藤だった。ふたりの掛け合いは、まさに洗練されたジャズの即興演奏を思わせる軽快さと緊張感を持ち合わせていた。
「カトちゃんケンちゃん」の愛称で親しまれたふたりは、互いの視線ひとつ、0.1秒の呼吸のズレすらも見逃さない天性の嗅覚を共有していた。舞台袖で見せる厳しいプロ意識とは裏腹に、本番でカメラが回った瞬間に爆発するエネルギー。加藤がツッコミを入れ、志村が斜め上のリアクションで返す黄金パターンは、単なる芸の領域を超えた互いへの絶大な信頼の上に乗っていたのだ。