1990年代末に誕生した記念日が、国民的行事へと跳躍した最大の契機は、2010年代初頭に起きたソーシャルメディア(SNS)の爆発的普及でした。とりわけ2012年と2013年に江崎グリコが主導したTwitter連動キャンペーンは、デジタルマーケティング界の伝説として今なお語り継がれています。
2012年11月11日、グリコは「ポッキー」という単語を含むツイート数の世界記録に挑戦するプロジェクトを展開しました。結果は、24時間で184万3,733件という驚異的な数値を叩き出し、ギネス世界記録「24時間に最もツイートされたブランド(Most mentions of a brand name on Twitter in 24 hours)」を見事に樹立しました。しかし、ドラマはそこで終わりませんでした。翌2013年11月11日、自らの記録を塗り替えるべく再挑戦を行い、前年を倍以上も上回る371万44件のツイートを記録し、世界記録を自己更新したのです。
当時のネットコミュニティの熱量は凄まじく、深夜0時を迎えた瞬間に数万件の投稿が雪崩を打つ光景は、日本テレビ系列の『天空の城ラピュタ』放映時に発生する「バルス祭り」を彷彿とさせました。関係者の証言や当時のログを検証すると、グリコ側が一方的に宣伝を押し付けるのではなく、「みんなで世界記録に挑戦するお祭り」という参加型のプラットフォームを提供したことが、ネットユーザー特有の共振現象を生み出した要因と分析されています。