下垂体後葉から分泌されるホルモンには、バソプレシンのほかに「オキシトシン」が存在します。この2つはアミノ酸配列が極めて似通っており、構造上はわずか2箇所のアミノ酸が異なるだけの“兄弟ホルモン”とも言える関係です。
しかし、担う機能には明確な違いがあります。バソプレシンが主に体液量・血圧の物理的維持を担うのに対し、オキシトシンは子宮収縮や母乳の射出、さらには他者への信頼感や愛着といった社会的な情動行動に強く関与します。共通の進化起源を持ちながら、一方は水分の防衛、もう一方は生殖と絆の形成という異なる役割へ見事に分化しています。