最上階9階へ上がると、ふわりと心地よい硫黄の香りが鼻腔をくすぐる。眼下に広がるのは瓦屋根が連なる飛騨高山の街並み、そしてその向こうに連なる雄大な飛騨山脈だ。「スパ・ホテル アルピナ飛騨高山」の代名詞とも言える展望露天風呂は、単なる眺望自慢にとどまらない。冷え込みが厳しい飛騨の朝、湯気越しに眺める朝焼けは、訪れた旅人の心を無条件で掴み取る引力を持っている。
そして宿泊者の間で熱狂的な支持を集めるのが朝食バイキングだ。取材中、多くの宿泊客が口を揃えて称賛していたのは、毎朝焼き上げられる自家製パンの香ばしさと、地元契約農家から届く新鮮野菜の力強さだった。飛騨名物の朴葉味噌や郷土の小鉢が美しく並ぶ一方で、クロワッサンを頬張る外国人客が笑顔を見せる。和と洋のバランスが見事に調和したビュッフェラインには、既製品に頼らない厨房の誇りが確かに宿っていた。