本作の熱量を決定づけたのが、「百獣の王」の異名をとる芹沢軍団の頭・芹沢多摩雄を演じた山田孝之の存在です。小栗旬自身が「芹沢役は山田孝之以外に考えられない」と熱望し、直接オファーに関わったという経緯はファンの間でも有名なエピソードです。
映画クライマックスに位置する小栗旬と山田孝之の対決シーンは、邦画アクション史屈指の名場面として語り継がれています。豪雨が降りしきるグラウンドという過酷なシチュエーションの中、テイクを重ねながら実際に拳を交えるようなテンションで撮影が敢行されました。現場関係者の証言によると、三池崇史監督は段取り通りのアクションを嫌い、役者同士の感情が最高潮に達した瞬間を捉えるため、あえて長回しを多用したとされています。
泥まみれになりながら互いの存在をぶつけ合った撮影現場は、体力的にも精神的にも限界寸前であり、撮影終了後に両者が抱き合って互いを称え合ったというエピソードは、単なる共演者を超えた強固なリスペクトの証左です。「全部壊して、ゼロになれ」という劇中のメッセージは、役者陣の剥き出しのパッションと完全にシンクロしていました。