両指揮官がピッチ上に描いた戦術的マスタープランは、まさに現代フットボールの最先端を示すものでした。スロット監督のリバプールは、ユルゲン・クロップ前体制の「ヘヴィメタル・フットボール」から脱却し、ボール保持時のリスクマネジメントを徹底する現実的なアプローチを採用しています。特にダブルボランチの一角が最終ラインに落ちてビルドアップを安定させ、相手のハイプレスを空転させる設計が際立っていました。
一方、アルテタ監督率いるアーセナルは、徹底したセットプレーデザインと可変4-4-2の守備ブロックで応戦。相手のキーマンへのパスコースを遮断し、アンカーを経由させない守備配置でリバプールのリズムを狂わせました。しかし、後半に入りスロット監督が中盤の配置を逆三角形からフラットに変更したことで、アーセナルのハイプレスの網に歪みが生じる結果となったのです。
ピッチ脇で怒声を飛ばし続けたアルテタ監督に対し、ベンチで冷静にタブレットの映像を確認しながら的確な指示を飛ばしたスロット監督。互いの交代策の意図がこれほど鮮明にピッチに投影された試合は稀であり、両指揮官の戦術的引き出しの多さが浮き彫りとなった一戦でした。