まる子の祖父であるさくら友蔵とおばあちゃんの部屋は、玄関から近く、茶の間にも隣接した落ち着いた位置に配されている。老齢の祖父母が家の中を移動する際の負担を最小限に抑えるバリアフリー的な動線意識が、無意識のうちに組み込まれている点は興味深い。
特に家族全員がコタツを囲む茶の間は、家全体の物理的・精神的なハブとなっている。テレビを見ながら夕食を摂り、くだらない雑談で盛り上がるこの空間こそが、物語のドラマを生み出す最大の舞台だ。個室主義が進んだ現代住宅と異なり、「廊下と襖(ふすま)を隔てて家族が常に存在を感じ合える」という間取りの仕掛けが、温かな家族像を演出する要となっている。