会津若松の二大巨頭として全国にその名を轟かせる「白孔雀食堂」と「食事処 むらい」。この2店舗を目指す旅行者が最も警戒すべきは、営業時間と仕込み数の限界です。
食事処むらいは、過去の水害被害や火災といった幾多の苦難を乗り越え、市内門田町にて力強い営業を続けています。店主が魂を込めて揚げる分厚いロース肉は、中心部まで絶妙な火入れが施され、噛み締めた瞬間に上質な脂の甘みが口腔いっぱいに広がります。しかし、その手間の多さゆえに1日の提供可能杯数には上限があり、平日でも開店前から受付台帳に名前が並ぶ状況が定常化しています。午後の早い時間帯に「本日分終了」の看板が掲げられることも珍しくありません。
一方、大正・昭和の面影を色濃く残す白孔雀食堂は、平皿のような丼から翼を広げたように飛び出すカツがトレードマークです。店主の高齢化や原材料高騰の波を受けながらも、初代から受け継ぐ甘辛いタレの味を愚直に守り抜いています。こちらも不定休や仕込み分終了による早仕舞いが常態化しているため、「午前11時の開店直後」を狙うのが鉄則です。
両店を訪れる際に共通する現場ルールとして、「食べきれない場合の持ち帰り用パック(有料または無料提供)」を恥じることなく頼む姿勢が挙げられます。無理をして残すことこそ最大の無礼であり、地元客も最初から半分を夕食の惣菜として持ち帰る前提で注文しています。この柔軟な利用法こそ、デカ盛り店をスマートに堪能する大人の作法です。