相撲史の記録を紐解くと、金星を量産した「横綱キラー」と、圧倒的な強さを誇りながらも多くの金星を許した「配給王」と呼ばれる横綱たちのドラマが浮かび上がります。
金星獲得数の歴代ランキング
通算金星獲得数の歴代最多記録を保持しているのは、元関脇・安芸乃島(あきのしま)です。卓越した立合いの低さと鋭いおっつけを武器に、現役生活で実に16個の金星を獲得しました。これは年間換算で384万円もの報奨金が長年上乗せされ続けた計算になります。
歴代ランキング上位の顔ぶれは以下の通りです。
- 1位:安芸乃島 勝巳 ―― 16個(平成初期の横綱陣をことごとく撃破)
- 2位:高見山 大五郎 ―― 12個(外国人初の幕内優勝者、巨体を活かした相撲)
- 2位タイ:栃乃洋 泰一 ―― 12個(巧みな左四つの技術派)
- 4位:土佐ノ海 敏生 ―― 11個(強烈な突き押しと右ハズ押し)
- 5位:北の洋 昇、長谷川 勝敏、鶴ヶ嶺 昭男、玉乃島 正夫 ―― 各10個
近年でも、鉄人・玉鷲をはじめとする個性豊かなベテラン平幕力士たちが、2026年最新の大相撲星取表を彩る見事な金星劇を演じ、上位陣を脅かし続けています。
なぜ大横綱ほど「金星配給数」が多くなるのか?
一方で、横綱が平幕力士に敗れて金星を配給した記録を見ると、歴代最多は昭和の大横綱・北の湖(53個)、次いで曙(41個)、貴乃花(39個)といった相撲史に燦然と輝く名横綱たちが並びます。
「大横綱がなぜこれほど金星を配給したのか」という疑問が生じますが、ここには構造的な理由があります。彼らは若くして横綱に昇進し、10年以上の長期にわたって横綱の座に君臨し続けたため、対戦した平幕力士の絶対数が桁違いに多いのです。どんなに勝率の高い横綱であっても、年間90日、10年で数百番に及ぶ取組をこなせば、怪我や体調不良を抱えながら出場する日もあります。金星配給数の多さは、逃げずに土俵に上がり続けた「長期政権の証」拠拠でもあるのです。