容疑者とは?被疑者・被告人との違いと報道で呼び名が変わる真相

容疑者とは?被疑者・被告人との違いと報道で呼び名が変わる真相

容疑者とは?被疑者・被告人との違いと報道で呼び名が変わる真相について押さえておきたい 理由を分かりやすく解説いたします。

人が犯罪の嫌疑をかけられてから判決を受けるまでには、刑事訴訟法で厳格に定められたタイムリミットが存在します。警察や検察は、無制限に対象者を閉じ込めておくことはできません。

身柄拘束の端緒となる逮捕には、主に以下の3つの形態があります。

  • 通常逮捕:裁判所の裁判官があらかじめ発付した「逮捕状」に基づき、警察官が執行する原則的な逮捕手続き。
  • 現行犯逮捕:「現に罪を行い、又は現に罪を行い終つた者」について、証拠が明白であるため逮捕状なしで誰でも(民間人であっても)身柄を拘束できる手続き(刑事訴訟法第212条)。
  • 緊急逮捕:重大な犯罪(死刑・無期または長期3年以上の懲役・禁錮)において、急速を要し令状を請求する時間がない場合に、逮捕後に直ちに令状を請求する手続き。

逮捕された瞬間から、法的な時計は急速に回り始めます。身柄拘束の具体的な期間の流れは次の通りです。

  1. 警察による送致手続き(48時間以内):逮捕後、警察は取り調べを行い、身柄を拘束し続ける必要があると判断した場合は48時間以内に被疑者の身柄と証拠書類を検察官へ送致(送検)しなければなりません。
  2. 検察官の判断と勾留請求(24時間以内):送致を受けた検察官は、24時間以内に取り調べを行い、裁判官に対して身柄拘束を継続する「勾留(こうりゅう)」を請求するか、あるいは釈放するかを決定します。逮捕からの合算で最長72時間が初期の関門となります。
  3. 裁判所による勾留決定(原則10日間・延長10日間=最長20日間):裁判官が証拠隠滅や逃亡の恐れがあると認めた場合、10日間の勾留が決定されます。やむを得ない事由がある場合はさらに最大10日間延長され、勾留期間は合計で最大20日間に及びます。
  4. 起訴・不起訴の処分決定:逮捕からの最長72時間と勾留の最長20日間を合わせた最大23日間の身柄拘束期限を迎えるまでに、検察官は刑事裁判にかける「起訴」か、裁判を求めない「不起訴」かを決定します。

法務省が公表する最新の『犯罪白書』統計データを検証すると、検察庁が処理した事件全体のうち、実際に公判請求(正式な刑事裁判の提起)に至る割合は約7%〜8%程度に留まり、略式命令請求を含めても起訴率は約25%〜30%前後に過ぎません。残りの約6割以上は「不起訴処分」となっています。不起訴処分には、犯罪を証明する証拠が足りない「嫌疑不十分」だけでなく、犯罪の事実は認められるものの犯人の境遇や反省の度合い、示談の成立などを考慮して裁判を見送る「起訴猶予」が多く含まれます。つまり、「容疑者として逮捕された=全員が有罪になり刑務所に入る」というのは統計的にもまったくの誤解です。

斉藤 蓮
著者

斉藤 蓮

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。