馬の視界は驚異の350度!見えない死角とブリンカー装着の真相

馬の視界は驚異の350度!見えない死角とブリンカー装着の真相

馬の視界は驚異の350度!見えない死角とブリンカー装着の真相にまつわる興味深い視点を分かりやすく発信ます。

「馬には世界がどのように見えているのか」という疑問に対し、近年の比較眼科学の研究で色彩感覚や暗視能力の詳細が明らかになっています。

まず色覚に関して、人間は赤・緑・青の3色を感じる「3色型色覚」ですが、馬は青と黄の2色を感じる「2色型色覚(赤緑色盲に近い見え方)」です。馬の視覚世界では、緑の牧草地も赤いリンゴも、くすんだ灰色や黄褐色がかった色合いとして知覚されます。鮮やかな赤色の服を着ていても、馬にとっては特別目立つ刺激色にはなっていません。

その一方で、夜間の暗視能力は人間を圧倒します。馬の目の構造には「タペタム(脈絡膜輝板)」と呼ばれる特殊な反射層が備わっています。網膜を通過したわずかな光をタペタムが鏡のように跳ね返し、視細胞を再び刺激することで、夜間や薄暗い環境でも光を最大限に増幅して周囲を視認できます。フラッシュ撮影をした際に馬の目が白や緑色に光るのは、このタペタムが反射しているためです。

ただし、暗闇に強い反面、明るい場所から暗い厩舎に入ったときなど、急激な明暗の変化に対する順応速度は人間よりも大幅に遅い(数十秒〜数分かかる)という弱点があります。トンネルや暗い馬運車への積み込みを馬が嫌がるのは、単なるワガママではなく、目が慣れずに真っ暗な穴に見えている恐怖心からくる行動です。

吉田 誠
著者

吉田 誠

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