本家である『謎解きはディナーのあとで』は、令嬢刑事・宝生麗子と毒舌執事・影山がディナーの席で事件の概要を聞き、安楽椅子探偵として鮮やかに解決へ導くユーモア本格ミステリーです。一方、ネット上で語られる「謎解きはコーヒーのあとで」のイメージには、「日常のささいな謎」や「カフェ空間での静かな対話」という要素が強く付加されています。
ディナー版が豪華絢爛な屋敷や本格的な殺人事件をベースにしているのに対し、読者が「コーヒーのあとで」に期待しているのは、バリスタが淹れたての一杯を出し終えた後に語り出すような、より身近で親しみやすい謎解きです。東川篤哉氏が確立した「軽妙な会話劇とロジカルな推理」というフォーマットが、カフェ文化と極めて親和性が高かった証拠といえます。