「たかが小さな焦げ」と見過ごすのは極めて危険です。独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)や東京消防庁の事故分析データによると、電子レンジ火災の原因の上位に「庫内の汚れ・食品カスの炭化による発火」が挙げられています。
電子レンジはマグネトロンから放射されるマイクロ波(電波)によって食品中の水分子を振動させ、摩擦熱で温める仕組みです。しかし、庫内に油汚れや食品の飛び散りが残っていると、その部分にマイクロ波が繰り返し照射されます。水分を失った残渣は急速に乾燥して炭化し、電気を通しやすい炭素(カーボン)の塊へと変化します。
炭化した焦げ付きにマイクロ波が集中すると、電界集中によって激しいスパーク(火花)が発生します。周囲に残った油分やプラスチック部品、あるいは加熱中の食品の包装材に引火することで、わずか数十秒で炎が立ち上る構造事故に発展するのです。衛生面の問題だけでなく、家庭内の重大な防災上の観点からも焦げの早期除去は不可欠です。