ジャンルの多様化という観点で見逃せないのが、長らくヒットチャートの定番として定着してきたサスペンスやアクションの深化だ。長年にわたり独自のカラーでヒット作を連発する講談社をはじめとする各社は、従来の枠組みに収まらない重厚なダークファンタジーを次々と世に送り出している。人間のエゴや社会の歪みを容赦なく描くリアルな心理描写は、大人世代の読者層を強く惹きつけてやまない。
また、一時は過剰供給とも言われた異世界転生ジャンルも大きな成熟期を迎えている。かつてのような安易な能力無双モノは姿を消し、緻密な経済・政治ドキュメンタリーのような要素を取り入れた作品や、精巧な世界観で魅せる本格ファンタジーへと昇華。ライト層からコアな読者までを納得させる質の高いストーリーが、今や各レーベルの目玉として棚を飾っている。