Ct検査の造影剤なぜ使う?体の熱さや副作用の真相と食事制限

Ct検査の造影剤なぜ使う?体の熱さや副作用の真相と食事制限

Ct検査の造影剤なぜ使う?体の熱さや副作用の真相と食事制限とは一体何なのか? 主要なファクトを丁寧に紐解いて紹介します。

検査予約票を渡された際、必ず厳格に指示されるのが「検査前○時間は飲食禁止」という食事制限です。なぜ採血でもないCT検査で、これほど厳密な絶食が求められるのでしょうか。

最大の理由は、万が一の嘔吐時における「誤嚥性肺炎」と「窒息」の防止です。造影剤の注入に伴う一時的な嘔気や血管迷走神経反射によって、撮影台の上で急激に胃の内容物を吐き戻してしまう事故が起こり得ます。CT装置の寝台の上に仰向けに固定された状態で嘔吐すると、吐瀉物が気道や気管へ流れ込み、窒息死や重篤な肺機能障害を引き起こす危険性が極めて高くなります。胃の中を空にしておくことは、画像の見やすさ以前に、患者の生命気道を保護するための絶対的な安全策なのです。一般的な目安として、午前の検査であれば朝食を抜き、午後の検査であれば昼食を絶食とする指示が出されます。

一方で、食事制限と混同して水分まで断ってしまう行為は非常に危険です。脱水状態のまま造影剤を注入すると、腎臓への負担が激増し、造影剤誘発性急性腎不全(PC-AKI)のリスクを急上昇させてしまいます。お茶や水などの糖分・乳脂肪分を含まない水分に関しては、検査直前まで適度な補給を推奨する医療機関が主流となっています。

そして、服薬中の患者が最も警戒しなければならない決定的な落とし穴が、糖尿病治療薬である「ビグアナイド系薬剤(メトホルミン、ブホルミンなど)」との相互作用です。国内で広く処方されているメトホルミンなどは極めて優れた血糖降下薬ですが、腎臓から造影剤が排泄される過程で一時的に腎機能が低下すると、体内に薬が蓄積し、「乳酸アシドーシス」という致死率の高い重篤な代謝異常を引き起こすリスクがあります。

日本糖尿病学会および日本医学放射線学会の共同ガイドラインでは、造影剤を使用する検査の前、および検査後48時間はビグアナイド系薬剤の服用を一時中止(休薬)することが原則として義務付けられています。病院から事前に渡される問診票で「お薬手帳」の提示を強く求められるのは、この致死的な相互作用を未然に遮断するためです。主治医の許可なく独断で飲み続けたり、逆にすべての薬を自己判断で中断したりせず、必ず医師・薬剤師の厳密な指示に従わなければなりません。

木村 陽翔
著者

木村 陽翔

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。