ディズニー映画『アラジン』に登場する砂漠の王国「アグラバー(Agrabah)」は、結論から言えば実在しない架空の都市です。作品冒頭で商人が「砂漠の果てにある街」と歌う通り、物語の世界観を構築するために生み出されたオリジナルの舞台設定となっています。
制作初期の構想段階では、イラクの首都「バグダッド」が舞台として想定されていました。しかし、1990年代初頭に勃発した湾岸戦争という国際情勢への配慮から、特定の現存都市を避ける形で作中オリジナルの架空都市へと変更された経緯があります。
「アグラバー」という名称の由来については、インドの古都「アグラ(Agra)」とイラクの「バグダッド(Baghdad)」を掛け合わせた造語であるという説が有力です。地理的な制約を取り払ったことで、中東から南アジアにまたがる多様なオリエンタル文化の魅力が凝縮された舞台が完成しました。