高樹氏のキャリアを語る上で欠かせないのが、テレビ朝日系の金字塔ドラマ『相棒』です。2000年の単発ドラマ時代から2011年の「season10」第1話まで、水谷豊演じる杉下右京の良き理解者であり、特命係の憩いの場である小料理屋「花の里」の初代女将・宮部たまき役を足かけ11年にわたり演じ続けました。
劇中では和服の似合う落ち着いた大人の女性を完璧に演じていましたが、2011年秋、「世界を巡る旅に出る」という唐突な設定で突如として番組を降板。公式には「東日本大震災の発生を受けて自然派生活への転換を決意し、千葉県南房総市への移住とエコロジー活動に専念するため」と説明されました。しかし関係者の証言によると、当時すでに高樹氏の自然保護活動や脱原発、スピリチュアルな思想への傾倒が激しくなっており、大手芸能事務所を退社したことで、過密な連続ドラマの撮影スケジュールを維持することが困難になっていたのが実情でした。
この降板劇から5年後の2016年に大麻逮捕という最悪の結末を迎えたことで、テレビ業界には激震が走りました。特に民放各局が直面したのが、『相棒』の夕方再放送枠の差し替え問題です。テレビ朝日系列において『相棒』の再放送は、平日夕方の視聴率を支えるドル箱コンテンツでした。しかし、たまき女将が登場する初期の名作エピソード群(season1〜season10)は、コンプライアンス上の理由から一斉に放送自粛を余儀なくされました。
後に同局は「作品に罪はない」という世論の擁護論やファンからの再放送料を求める声を受け、判決から一定期間を置いた後に再放送を順次再開させましたが、現在でも高樹氏が出演する初期シリーズの地上波放送は慎重に選定されており、ドラマ制作陣やキャスト陣に与えた損害と心理的ダメージは計り知れません。