『音楽の日2023』が歴代の特番の中でも傑出した評価を得ている最大の理由は、長年タブー視されてきた「所属事務所の枠組み」を完全に撤廃した演出にあります。
当時、ジャニーズ事務所(現STARTO ENTERTAINMENT)所属グループと、LDH、BMSG、LAPONEエンタテインメント、HYBEなどのボーイズグループが同じステージに立ち、次々とバトンを渡しながらダンスを繋ぐ演出は、日本の地上波テレビにおいて極めて画期的な試みでした。
現場を目撃した制作関係者の証言によると、「リハーサル室では所属を超えてダンサー同士がお互いの振り付けをリスペクトし合い、現場全体が異様な熱気に包まれていた」と語られています。放送中、SNSでは「日本の音楽界の壁が崩れた瞬間」「この光景をずっと待っていた」といった熱狂的な投稿が数万件規模で溢れかえりました。
また、Mrs. GREEN APPLEの「僕のこと」に合わせた大合唱企画では、コロナ禍で行事の中止や制限を経験した世代の若者たちが一堂に会し、生の歌声を響かせました。ボーカルの大森元貴さんが感極まる表情を見せながら全力で歌い上げる姿は、視聴者の胸を強く打ち、単なるエンターテインメントを超えた「社会的セラピー」としての役割を果たしました。