2017年の連載終了当時、SNSや5ちゃんねる、レビューサイトでは最終回を巡って激しい賛否両論が巻き起こりました。「伏線が投げっぱなしで終わった」「巨大ZQNの正体やイタリア編の意味は何だったのか」「ヒロインたちの救いがない」といった戸惑いの声が殺到したのです。
当時の読者コミュニティで噴出した主な声は以下の通りです:
- 「あれだけ壮大に広げたクルスや海外の伏線が、英雄の孤独な日常描写だけで終わって呆然とした」
- 「てっこが歯を折っていた理由や、黒焦げの死体が意味するものが最後まで明示されず不気味すぎる」
- 「だが、世界が滅びても自分の名前の通り『英雄』になれず、ただ生き残ってしまった男のリアルとしては完璧なラスト」
読者が感じた「説明不足」の正体は、花沢健吾氏が意図的に「全知の視点」を排除したリアリズムに起因しています。突如として世界のルールが書き換わったとき、一介の漫画家アシスタントに過ぎない一般人が、事態の全容や黒幕の正体をすべて解き明かせるはずがないという徹底した現場主義です。
この議論にひとつのピリオドを打ったのが、2026年に配信された電子書籍版『アイアムアヒーロー 完全版』における第265話(描き下ろしエピローグ)でした。無人の街で一人、鹿を狩り、散髪をし、崩壊した世界を噛み締めながら生き続ける英雄の姿が鮮明に描かれたことで、「投げっぱなしではなく、英雄の人生を描き切った傑作」としての再評価が定着しました。