華々しい給与改定の背景にある新卒初任給引き上げの真相を探ると、企業側の巧みな人件費コントロールと制度設計の盲点が浮かび上がります。
「基本給30万円」と「みなし残業込み30万円」の決定的格差
求人票を見る際に真っ先に検証すべきが、みなし残業代固定残業の評判でも頻繁に議論される手当の内訳です。同じ「月給30万円」でも、内訳が「基本給30万円(残業代完全別支給)」である場合と、「基本給22万5,000円+固定残業代7万5,000円(45時間分)」である場合では、労働環境と待遇に天と地ほどの差があります。
固定残業代が含まれている場合、45時間を超える時間外労働を行わない限り追加の手当は支給されません。さらに、基本給が低く設定されていると、基本給をベースに算出される賞与(ボーナス)の支給倍率が見かけ倒しになるリスクを孕みます。
大手企業ボーナス賞与最新事情と「総額人件費の据え置き」疑惑
大手企業ボーナス賞与最新事情の現場を取材すると、初任給のベースアップが必ずしも「年間総受取額の大幅増」を意味しない実態も見えてきます。一部の企業では、初任給を引き上げた分、夏・冬の賞与支給月数を抑制したり、各種手当(家族手当や福利厚生補助)を基本給に組み入れたりすることで、企業全体の総人件費をほとんど増やさずに初任給の数字だけを吊り上げるテクニックが使われています。
また、既存社員とのバランス問題も深刻です。初任給を30万円に引き上げた結果、入社3年目〜5年目の先輩社員の基本給とほぼ同額になってしまい、社内ヒエラルキーやモチベーションに歪みが生じている組織が散見されます。この歪みを是正するために全社的なベースアップを行える体力があるかどうかが、真の優良企業を見極めるリトマス試験紙となります。