凶悪犯罪の指示役に手を染めることになった今村磨人被告の生い立ちと経歴には、夜の街での人間関係と反社会的勢力との接触が色濃く影を落としています。関係者の証言や公判記録によると、今村被告は北海道札幌市の出身で、地元の小中学校を卒業後、高校へ進学するものの間もなく中退しています。
10代後半から札幌の巨大歓楽街「ススキノ」に身を投じた今村被告は、バーやキャバクラの従業員、客引きなどを転々とし、夜の経済圏で人脈を広げていきました。このススキノ時代に決定的な転機となったのが、グループの頂点に立つ渡辺優樹被告との出会いです。渡辺被告もまたススキノのキャバクラ店などを実質的に経営しており、今村被告はその傘下で店舗運営や従業員の管理を任されるなど、主従関係を深めていきました。
しかし、経営トラブルや金銭的な行き詰まり、さらには反社会的勢力との軋轢が生じたことから、両者は活動拠点を海外へ移すことを計画します。2019年頃にフィリピンへ渡航した今村被告は、渡辺被告らが立ち上げた日本人向け特殊詐欺グループの「かけ子」統括や現地拠点の管理役として本格的に犯罪組織の幹部へと組み込まれていきました。