本作の物語は、『羊たちの沈黙』の出来事から数年前、まだレクター博士が逮捕される直前の回想から幕を開けます。プロファイラーのウィル・グレアムは、天才精神科医ハンニバル・レクターが連続猟奇殺人の犯人であると見破るものの、重傷を負い心身に深いトラウマを抱えて引退しました。
数年後、満月の夜に一家を惨殺する新たな猟奇殺人鬼「トゥース・フェアリー(噛みつき魔)」が出現。元上司ジャック・クロフォードの強い要請を受け、ウィルは捜査に復帰します。犯人の心理を読み解くため、ウィルはやむを得ず精神病棟に幽閉されているレクター博士へ助言を求めに向かいます。
相関関係の肝となるのは、「ウィル・グレアム vs レクター博士 vs フランシス・ダラハイド」の三つ巴の心理的駆け引きです。レクター博士は獄中にいながら、自らを崇拝するダラハイドと暗号通信を通じて接触し、ウィルの自宅住所を教えてその家族を標的にさせようと画策します。
一方のダラハイドは、自身の内なる「レッド・ドラゴン(赤き竜)」の幻影に苦しみながらも、盲目の女性リーバ・マクレーンと出会い、人間らしい感情に目覚めかけます。しかし、歪んだ妄執は止められず、ゴシップ記者フレディ・ラウンズを残虐に処刑。物語の結末では、ダラハイドの偽装死を見抜いたウィルが自宅で家族を守るための決死の銃撃戦を繰り広げ、辛くも犯人を撃退します。ラストシーンでは、チルトン医師がレクター博士に「FBIから若い女性捜査官(クラリス・スターリング)が面会に来ている」と告げ、『羊たちの沈黙』へ完璧にバトンを繋ぐ構成となっています。