丸福珈琲店を語る上で欠かせない二大主役が、注文を受けてから焼き上げる名物ホットケーキと、唯一無二の個性を放つ極濃珈琲です。
ホットケーキは、オーダーが入ってから専用の粉と卵、牛乳を絶妙な配分で手早く混ぜ合わせ、厚さのある特注銅板の上で焼き上げられます。火の通り方を指先の感覚と熱気で見極め、絶妙なタイミングでひっくり返す作業は、まさに熟練職人の賜物です。運ばれてくるホットケーキは、表面が美しいキツネ色に輝き、ナイフを入れると外側は心地よいサクサク感、中はぎっしりと詰まったふんわり食感を楽しむことができます。シロップは「ハチミツ」または「メイプルシロップ」から選択可能で、上質な有塩バターの塩気とシロップの甘みが生地の素朴な風味を引き立てます。
一方、創業者が独自の工夫を重ねて特許を取得した「伊吹式抽出器具」を用いて抽出される珈琲は、一般的なドリップコーヒーの概念を覆す濃厚さを誇ります。深煎りの豆を贅沢に使用し、職人が滴る湯の速度を自在に操りながら一滴一滴抽出するその液体は、まるでエスプレッソのようなとろみと芳醇な苦味を湛えています。
「苦すぎて飲めないのではないか」と不安に感じる初訪問者も少なくありませんが、この濃厚さこそが丸福珈琲の真骨頂です。カップの底にあらかじめ用意された角砂糖を沈め、最初は混ぜずに表面のシャープな苦味を味わい、徐々に溶け出す甘みとのグラデーションを楽しむのが通の嗜みとされています。さらに、専用の濃厚なフレッシュ(ミルク)をひと回し注ぐことで、ビターチョコレートを思わせるまろやかなコクへと劇的に変化します。この濃厚な一杯があるからこそ、素朴な甘さのホットケーキとの完璧なマリアージュが完成するのです。