「歳を重ねて声が出なくなったのではないか」という懸念に対し、実際のライブ現場は完全に逆の現実を突きつけています。
近年のソロツアーやロックフェスでのステージを観覧した観客や音楽評論家からは、「90年代以上の声圧と破壊力」「倍音を豊かに含んだ中低音から鋭いハイトーンシャウトへの跳躍が凄まじい」と絶賛の声が相次いでいます。原曲キーのまま歌い上げられる『世界が終るまでは…』のロングトーンは、会場の空気を震わせるほどのエネルギーを保持しています。
年齢に応じた適切な発声法のアップデートと日々の節制により、喉の衰えを感じさせないどころか、シンガーとしての深みと凄みを年々増しているのが現場の実像です。
【プロの結論】表現者の変容を受け止められない大衆心理とアーティストの健全性
大衆は往々にして、青春時代に刻まれた「美しく完璧なアイコン」をアーティストに永遠に求め続けます。心理学的に言えば、ファンが抱くノスタルジーは時にアーティストの生身の加齢や人間的成熟を拒絶し、外見の変化を「病気」や「劣化」というネガティブな枠組みに押し込めて解釈しがちです。
しかし、上杉昇が選んだ生き方は、大衆のノスタルジーに迎合して過去の遺産を消費することではなく、己の魂の叫びを表現するために容姿も声も泥臭くアップデートし続ける「本物の表現者の道」です。作られた偶像から脱却し、年齢を刻んだ生身の肉体でシャウトする彼のスタンスは、商業主義に抗うロックの原点そのものと言えます。