「早川」という名を日本国内のみならず世界へ轟かせた存在として、株式会社早川書房の功績は外せません。1945年8月、戦後直後の東京・神田神保町にて創業者の早川清氏によって設立された同社は、日本の知的カルチャーに決定的な変革をもたらしました。
演劇雑誌『悲劇喜劇』の創刊から始まり、1950年代には『エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン(現・ミステリマガジン)』、1959年には『SFマガジン』を相次いで立ち上げました。アガサ・クリスティーやアーサー・C・クラーク、フィリップ・K・ディックといった海外の巨匠作品を「ハヤカワ・ポケット・ミステリ(ポケミス)」や「ハヤカワ文庫」として翻訳出版し、日本にミステリ・SFというジャンルを根付かせた経緯があります。
同社に対する業界内外の評判は「先見性と翻訳精度の圧倒的な高さ」に集約されます。近年では劉慈欣氏の『三体』をはじめとするアジア発メガヒット作の独占的刊行や、ノンフィクション・人文書における先端知の導入により、出版不況と言われる時代においても独自のブランド価値と強固な読者コミュニティを堅持しています。