「科学」と「化学」の混同を解消する第一歩は、両者の意味と定義を上下関係(包含関係)として捉え直すことです。日常的に並列して扱われがちですが、学問の分類体系において両者は同列ではありません。
まず科学(Science)とは、一定の目的と方法によって実証された体系的な知識の総称です。その語源はラテン語の「scientia(知識・知ること)」に由来し、広義には人文科学(文学や哲学など)や社会科学(経済学や法学など)を含みます。狭義で使われる場合でも、天文学、地学、生物学、物理学、そして化学を包含する「自然科学」全般を指す大きな傘のような概念です。
これに対して化学(Chemistry)は、科学という巨大な樹木から伸びた「一本の太い枝」に位置づけられます。具体的には、あらゆる「物質」の構造、性質、そして物質同士が引き起こす反応や結合の変化を原子・分子レベルで追究する学問です。金属、プラスチック、医薬品、人体の生体反応など、形ある物質そのものの成り立ちと変容を扱う点が最大の特徴といえます。
つまり、関係性を一言で整理すれば「すべての化学は科学であるが、すべての科学が化学であるわけではない」という論理構造が成り立ちます。