京都・祇園の最古の禅寺である建仁寺を訪れた観光客から頻繁に聞かれるのが、「大書院に展示されている風神雷神図屏風は本物なのか?」という疑問です。
結論から言うと、現在建仁寺の書院で常設公開されている作品は「高精細デジタル複製(キヤノン・綴プロジェクト等による超精密レプリカ)」です。宗達筆の国宝原本は、温湿度管理と文化財保護の観点から京都国立博物館に寄託されており、常時展示されているわけではありません。
「レプリカと聞いて落胆した」という声も一部にありますが、これは誤った捉え方です。ガラスケース越しではない開放的な禅寺の和室空間において、畳の上に座り、庭からの自然光で見上げる体験は、宗達が本来意図した鑑賞環境そのものです。国宝指定の決定的な理由は、単なる絵画としての完成度だけでなく、「日本の空間芸術としての革新性」が高く評価された点にあります。