安全基準の観点からも、その境界は極めて厳格だ。産業用墜落制止用器具やクライミングギアは、日本産業規格(JIS)や国際山岳連盟(UIAA)、欧州規格(CE)などの極めて厳密な規格をクリアして初めて市場に流通する。
日常の便利さに慣れきった消費者が陥りがちなのが、以下のような危険極まりない誤用だ。
・ハンモックを木に固定するための吊り下げ金具として使う
・大型犬の散歩用リードの連結ジョイントとして代用する
・荷締めベルトのフックとして荷台の荷物を固定する
・子どものブランコや遊具の連結部に組み込む
体重60kgの人間がハンモックに静かに腰掛けた瞬間だけでも、角度によっては数百kg相当の張力がカラビナにかかる。大型犬が急に走り出した際の瞬間的な引っ張り力も、数十kgから100kgを超える。100均のアクセサリーカラビナは、こうした動荷重に耐えうるリベット構造やゲート剛性を持っていない。金属疲労を起こしたピンが一瞬で破断し、重大な人身事故へと直結するリスクを常に孕んでいる。