民謡の舞台となった地名の由来である「聖ルチア(Saint Lucy)」は、キリスト教史において極めて重要な殉教者の一人です。西暦304年、ローマ帝国皇帝ディオクレティアヌスによる最後の大迫害の最中、シチリア島のシラクサで殉教した若き女性貴族と伝えられています。
伝承によると、ルチアは難病を患う母の治癒を聖アガタに祈り、奇跡的に回復したことを機に全財産を貧しい人々に施す決意をしました。しかし、彼女の信仰と婚約破棄に激怒した異教徒の婚約者により密告され、過酷な拷問を受けることになります。
キリスト教の図像学(イコノグラフィー)において、聖ルチアは「皿の上に載せられた2つの目玉」や「ランプ」を手にした姿で描かれます。これには2つの伝承が存在します。
- 自らの美しい瞳に執着する求婚者に対し、信仰を貫くため自ら目をくり抜いて差し出したという説。
- 拷問の過程で目を抉り取られたものの、神の奇跡によってさらに美しい目を与えられたという説。
名前の語源である「光(Lux)」と、この強烈な視覚的伝承が結びつき、聖ルチアはカトリック教会において「目の病を患う者」「盲人」「視力に関わる職業(ガラス職人・作家・絵師など)」の守護聖人として篤く信仰されています。