奇跡のリンゴ木村秋則の現在と真実|無農薬栽培の裏に隠された壮絶な過去

奇跡のリンゴ木村秋則の現在と真実|無農薬栽培の裏に隠された壮絶な過去

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木村秋則氏が歩んだ道のりは、美談という言葉だけでは片付けられない壮絶なものでした。もともとは機械いじりが得意で、東京の会社に勤務していた木村氏が農業の世界に入ったのは、弘前市で農家を営む木村家への婿養子がきっかけでした。

無農薬栽培への挑戦を決意させた決定打は、妻・美栄子さんの深刻な農薬アレルギーでした。散布のたびに皮膚がただれ、寝込む妻の姿を目の当たりにした木村氏は、「農薬を使わずにリンゴを実らせる」という無謀とも言える挑戦に身を投じます。当時、リンゴは年に十数回以上の農薬散布が不可欠とされ、業界内では「無農薬リンゴは絶対に不可能」が鉄則でした。

実験を開始してから収穫ゼロの歳月は、実に10年近くに及びました。収入は完全に途絶え、軽トラックを売り払い、畑の草を食べる極貧生活へと転落。周囲の農家からは「畑に害虫を湧かせる厄介者」として村八分同然の扱いを受け、「カマドケ(破産者)」と蔑まれる屈辱を味わいました。

家族を巻き込んだ果てしない貧困と周囲からの冷たい視線に追い詰められた木村氏は、ある夜、命を絶つためにロープを手に岩木山へ登りました。しかし、そこで自死のために投げたロープが枝から外れ、足元に目を落とした瞬間、運命を変える出会いを果たします。鬱蒼とした山奥で、農薬も肥料もないのに青々と葉を茂らせるドングリの木と、フカフカに肥えた山の土を発見したのです。この現場での気づきが、後に農業界を揺るがす「自然栽培 土壌作り」の出発点となりました。

佐々木 一輝
著者

佐々木 一輝

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。