インターネットの検索窓に「バレイヤージュ」と打ち込むと、サジェストに「バレイヤージュ 色落ち 汚い」というネガティブな語句が浮上します。この検索行動の背景には、「ブリーチ部分がパサついて金髪むき出しになるのではないか」という先入観が存在します。しかし、美容技術の観点から言えば、正しく施術されたバレイヤージュは「あらゆるブリーチカラーの中で最も色落ちが目立ちにくく、退色後も美しいスタイル」として設計されています。
バレイヤージュ(Balayage)とは、フランス語で「ほうきで掃く」を意味する言葉通り、刷毛を使って毛束にV字やグラデーション状にハイライトを描く技法です。根元近くは細く暗く、毛先に向かって徐々に明るくなる設計をとるため、新しく生えてくる地毛との境目が自然にぼかされます。これが、頭頂部からくっきりと横線が入ってしまうワンメイクの全頭カラーとの決定的な違いです。
それにもかかわらず、「汚い」と感じてしまう事例が後を絶たない背景には、2つの構造的欠陥が潜んでいます。
第1に、施術者のブリーチワークにおける「明度のムラ」と「スジ感の乱れ」です。ほうきで掃くような繊細なボカシが入っておらず、パッツンとした段差ができていたり、ブリーチが抜けている箇所と抜けていない箇所がまだらになっていたりすると、ベースのカラー色素が抜け落ちた段階で粗が露骨に表面化します。
第2に、日本人の毛髪特有の「アンダートーン(メラニン色素)」による赤みと黄ばみです。日本人の黒髪には赤褐色を帯びたユーメラニンが多く含まれており、中途半端なブリーチで止めてしまうと、オレンジや赤茶けた濁ったベースになります。この上から一時的にグレージュなどを被せても、退色とともに下品な金茶色があらわになり、これが「バレイヤージュ色落ち後が汚い」と酷評される元凶となっているのです。