武者返しを語る上で欠かせない存在が、四代目蔵元であり九州でも屈指の女性杜氏として名を馳せた寿福絹子氏です。焼酎造りは男の世界とされていた時代から蔵に入り、伝統の技を守りながらも独自の繊細な感性をもろみ管理に注ぎ込んできました。
絹子氏が何よりも大切にしてきたのは「原料となる米への敬意」と「丁寧な手作業」です。原料米には地元・熊本県産のヒノヒカリなどを中心に使用し、蒸米から製麹(せいきく)に至る工程の多くを手作業で進めます。五感を研ぎ澄まして米の状態を見極める職人技が、雑味のないクリアなコクを生み出す土台となっています。
現在は五代目を担う息子の寿福良大氏へとその情熱と技術がしっかりと受け継がれており、小規模な蔵だからこそ可能な「顔の見える焼酎造り」が、2026年の現在もファンを魅了し続ける原動力となっています。