合い挽き肉のポテンシャルが最大限に発揮されるもう一つの主役が、パスタの定番ボロネーゼだ。本来であれば数時間じっくり煮込むことで深みが出るソースだが、共働き世帯が増加した現代において、何時間も鍋につきっきりになるのは現実的ではない。そこで編み出されたのが、「挽き肉を動かさずに焼き付ける」という時短調理テクニックだ。
鍋にひき肉を入れた後、すぐに炒め合わせるのではなく、あえてハンバーグのようにじっくりと焦げ目をつける。このメイラード反応によって生じた強力な香ばしさと旨味が、ソース全体に深みをもたらす。隠し味として少量の味噌やフォンドボーペースト、あるいはバルサミコ酢をほんの数滴垂らすことで、わずか15分の煮込み時間で2日寝かせたかのような重厚なコクと酸味のバランスを作り上げることができるのだ。