品川区北品川に位置する新八ツ山橋が、全国的な知名度と熱狂的なファン層を持つ背景には、他の橋梁には見られない3つの強烈なアイデンティティが存在します。
第1の理由は、箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝競走)の勝負所としての存在感です。大手町と箱根を結ぶコースにおいて、新八ツ山橋は往路1区の序盤の牽制、そして何より復路10区の終盤におけるラストスパートの仕掛け所として、幾多の逆転劇や名勝負を生んできました。選手たちの息づかいと観衆の歓声が凝縮される現場として、スポーツ史に深く刻まれています。
第2の理由は、ポップカルチャーにおける聖地としての地位です。1954年に公開された映画『ゴジラ』で、巨大怪獣が東京に初上陸を果たした地点こそがこの八ツ山エリアでした。2016年の大ヒット作『シン・ゴジラ』でも印象的な防衛ライン・移動ルートとして描かれ、国内外のファンが訪れる聖地巡礼の定番スポットとなっています。
第3の理由は、都市インフラが織りなす立体的な絶景と鉄道ビュースポットとしての魅力です。橋の上からはJR各線(山手線・京浜東北線・東海道線・上野東京ライン・東海道新幹線)が過密なダイヤで行き交う大動脈を一望でき、すぐ北側には京急本線の急カーブが迫ります。都市交通のエネルギーが一点に凝縮されたパノラマは、東京屈指の景観として評価されています。