1987年の放送開始以来、昭和から平成、令和へと日曜朝の言論空間を規定してきた『サンデーモーニング』。初代司会者・関口宏氏から膳場貴子氏への交代劇は、単なる番組リニューアルにとどまらず、日本のテレビ報道史における明確なパラダイムシフトを意味していました。
当時の交代発表に際し、民放キー局関係者の間では「視聴者層の高齢化が顕著な番組で、家父長的な関口氏の安心感を失えば大幅な視聴率低下を招くのではないか」という危惧が少なくありませんでした。しかし、交代から2年を経た現在のデータを見ると、その懸念は杞憂に終わっています。
ビデオリサーチの関東地区推計データによると、司会交代直前の2026年初頭における個人全体視聴率は約6.8%〜7.2%(世帯11%〜12%前後)で推移していました。膳場体制に移行した2026年春以降、一時的な視聴者の戸惑いによる微減は見られたものの、2026年から2026年にかけては個人全体で6.5%〜7.0%、世帯で10.5%〜11.8%と、同時間帯の民放横並びトップの座をほぼ独走状態で死守しています。さらに注目すべきは、これまで極めて少なかった30代〜40代のコア視聴層のシェアが約1.2倍に微増している点です。
この安定移行をもたらした最大の要因は、スタジオの空気感における「権威の分散」にあります。関口氏時代は司会者が中央でどっしりと構え、パネリストの意見を「うん、どうですか」と受け止める家父長型進行でした。これに対し膳場氏は、東大時代に培った論理的思考とNHK時代からの現場叩き上げの技術を駆使し、パネリストの言論の矛盾点を適度に整理しながらテンポよく会話を回す「フラットなファシリテーター型」へとスタジオ構造を再構築しました。この演出過剰を排した知的なリズムが、日曜朝の視聴者に知的好奇心と安心感を同時に与えています。