どれほど甘みが増すとしても、保存中に中から虫が湧いてきたり、表面がカビだらけになって廃棄してしまっては元も子もありません。栗の内部には「クリシギゾウムシ」などの幼虫が卵の段階で潜り込んでいるケースが多く、買ってきた袋のまま放置すると数日で実を食い荒らされてしまいます。そこで不可欠となるのが、保存前の丁寧な検品と確実な下処理です。
まず最初に行うべきは、栗の虫食いの見分け方を把握することです。選別の第一段階として、外見の観察を行います。鬼皮の表面に針で刺したような小さな黒い穴が開いているもの、座(底のざらざらした部分)の境目が黒ずんで粉を吹いているものは、すでに内部に虫が侵入している決定的なサインです。さらに、たっぷりの水を入れたボウルに栗を投入してください。底に沈む栗は実が緻密で水分が保たれている良品ですが、水面にプカプカと浮いてくる栗は、内部が虫に食われて空洞化しているか、過度の乾燥で実が痩せ細っているため、迷わず取り除きます。
選別をクリアした栗に対して、番組でも推奨された最も効果的な生栗の下処理と虫出し、そして生栗のカビ防止保存の決定版が「50℃の温湯処理」です。
鍋に50℃のお湯(沸騰させたお湯と同量の水道水を混ぜると約50℃になります)を用意し、生栗を浸して火を止め、約30分から1時間放置します。この温度帯は、栗のデンプンを糊化させることなく、皮の隙間に潜む害虫の卵や幼虫を失活させ、表面に付着したカビの胞子を熱殺菌するのに最適な熱量となります。浸け終わった後は、ザルにあげて水気を完全に拭き取ることが極めて重要です。
水分が残ったまま密閉すると高確率で白カビの原因となるため、乾いたタオルで一粒ずつ丁寧に拭き上げ、さらに半日ほど日陰で風に当てて表面をサラサラの状態に乾燥させます。その後、生栗を冷蔵保存するためのジッパーバッグへ入れる際は、直接栗を詰め込むのではなく、キッチンペーパーを敷いて栗を包み込むように収めます。栗自身が吐き出すわずかな呼吸蒸気をペーパーが吸い取ることで、湿度過多によるカビの発生を完全に遮断できるのです。