ネット空間で「世界一小さい猫」と検索した際、多くの情報が入り乱れて混乱を招く最大の原因は、「野生種」と「イエネコ(飼育種)」の定義が混同されている点にあります。生物学的に猫(食肉目ネコ科)に属する最小グループと、人間の手によってブリードされた品種とでは、身体構造も生息域も全くの別物です。
自然界において「世界最小のネコ科動物」の座を争っているのが、アジアに生息するサビイロネコと、アフリカ南部に生息するクロアシネコです。サビイロネコは成猫時の体重がわずか1.0〜1.6kg程度しかなく、落ち葉や低木の陰にすっぽりと隠れてしまうほどのサイズしかありません。一方のクロアシネコも成猫の平均体重はオスで約1.9〜2.5kg、メスは1.5kg強と極めて小さく、頭胴長は35〜50cmほど。一般的な大人の雑種猫が4〜6kg前後であることを踏まえると、まさに「大人の姿をした子猫」と呼ぶべき驚異的なコンパクトさを誇ります。
しかし、これら野生の小型ネコ科動物は国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストに登録されている希少種であり、ワシントン条約等によって厳格に保護されています。当然ながら一般家庭でペットとして飼育することは法律上も生態上も不可能です。私たちが家庭でパートナーとして迎えられるのは、あくまで品種改良と血統管理の歴史を経て確立されたイエネコに限られます。