ネット上の口コミで頻繁に見受けられるのが、「油の量が多いほどこってりしていて旨い」という短絡的な誤解です。しかし、ラーメンの構造力学において、油膜の厚さとスープの濃厚さは本質的に異なります。
真に評価の高い新宿のこってりラーメン店は、表層に浮くラードや植物油の量に頼っていません。長時間にわたり豚骨や鶏ガラを強火で炊き込み、骨髄やコラーゲンを乳化させたベーススープにこそ、旨味と粘度の秘密があります。良質な乳化スープは油分が水分と均一に混ざり合っているため、口当たりが滑らかで、食後の不快な胃もたれを引き起こしにくい特徴を持っています。
また、「背脂ラーメン=ギトギトで大味」という先入観も誤りです。上質なA脂と呼ばれる豚の背脂は融点が低く、スープの熱で自然に溶けて芳醇な甘みとコクへと変化します。脂の量(アブラオオメなど)だけを無暗に増やすのではなく、ベースとなるスープの抽出度合いを見極めることが、失敗しない店選びの鉄則です。