ネット上のサッカー論調を見渡すと、東京ヴェルディの躍進に対して「単なる守備的なドン引きサッカー」「昇格組特有のビギナーズラック(勢い)に過ぎない」といった冷ややかな意見が散見されることがあります。しかし、トラッキングデータや戦術アナリストの詳細な分析を参照すると、そうした見立てが決定的な誤解であることが分かります。
第一に、ヴェルディの守備は「ゴール前にバスを停める」ような消極的な引き籠もりではありません。自陣PA付近まで押し込まれる前に、ミドルサード(ピッチ中央エリア)で相手のパスコースを限定し、チーム全体が連動してボールを狩り取る能動的なディフェンスを実行しています。実際、インターセプト数や敵陣でのボール奪取率はリーグ上位に位置しており、攻撃への鋭い切り替えを前提とした戦略的守備なのです。
第二に、昇格からの戦いぶりを見れば、勢い頼みの脆さがないことは明白です。主力選手が引き抜かれるオフシーズンを経ても、城福監督の戦術原則がチーム全体に浸透しているため、代わりに出場した若手や新加入選手が遜色なく機能します。再現性のあるチームビルディングが構築されている点を見落としては、ヴェルディの真の強さを語ることはできません。