「青雲の歌」のクレジットに目をやると、昭和のカルチャーを築き上げた巨星たちの名が並んでいる。作詞を手掛けたのは、数々の傑作CMやポップスを世に送り出した伊藤アキラ。そして作曲・編曲を担当したのが、『ルパン三世』のテーマ曲をはじめ数々のジャズや劇伴で知られる名匠、大野雄二である。
「それは君が見た光 / 僕が見た希望」――伊藤アキラの紡いだ詞には、過剰な説明が一切ない。誰にでも通じる平易な言葉だけで、どこか哲学的な深みと広がりを感じさせる。喪失や祈りといった個人的な感情を、普遍的な「光」や「希望」という前向きなヴィジョンへと昇華させる手腕は見事というほかない。
一方、大野雄二が施した旋律の構成は、驚くほど綿密に計算されていた。哀愁を帯びたマイナー調のヴァースから、サビに向かって一気に視界が開けるようなコード進行。わずか15秒、30秒という極小の時間軸の中に、ひとつの交響詩のような起承転結を凝縮している。昭和歌謡の黄金期が持っていた豊潤なオーケストレーションと、ジャズ由来の洗練されたコード感が、土着的な哀愁と見事に融和した。大野雄二は後年、「短い尺だからこそ、フックと同時に品格が必要だった」と述懐しているが、その言葉通り、商業音楽の枠を軽々と飛び越える普遍性がここに宿った。