ネット上の掲示板やSNSでは、時折「11年間も警察の目を欺き続けた逃亡のプロ」といった誤った神格化が見受けられます。しかし、実態を取材データから客観的に紐解くと、そこにあったのは華麗な逃亡劇などではなく、心身を極限まで削り取られた悲惨な孤立生活でした。
まず、病死の大きな要因となったのは「正規の医療を受けられない恐怖」です。小池容疑者は重い健康不安や体調不良を抱えていた形跡がありながら、保険証の提示やカルテ作成による足取り発覚を極度に恐れ、病院受診を拒み続けました。52歳という若さでの心不全死は、逃亡犯であるがゆえに適切な医療介入を受けられなかった結果です。
また、懸賞金300万円が設定されていたにもかかわらず発見が遅れた背景には、「あまりに身近な住宅街に普通の顔をして溶け込んでいた」という心理的盲点があります。市民は「指名手配犯=怪しい挙動をする危険人物」という固定観念を抱きがちですが、長期逃亡者ほど周囲に愛想を振りまき、極めて低姿勢で目立たない生活を送る傾向があります。