神社建築を鑑賞する上で、まず押さえておきたいのが神社の鳥居の種類と見分け方です。日本の鳥居は大きく分けて、直線的で素朴な「神明系(しんめいけい)」と、曲線美や装飾性を取り入れた「明神系(みょうじんけい)」の2系統に大別されます。八幡神社にルーツを持つ「八幡鳥居(はちまんとりい)」は、分類上は明神系に属しますが、独自の構造を持っています。
八幡鳥居の特徴を理解する鍵は、上部を構成する「笠木(かさぎ)」と「貫(ぬき)」の接合部分にあります。通常の明神鳥居は、最上部の笠木の下に「島木(しまぎ)」と呼ばれる横木が重なる二重構造をとります。しかし、純粋な八幡鳥居にはこの島木が存在せず、笠木が直接柱に載る潔い設計となっています。さらに、笠木の両端(木鼻)は反り上がることなく、斜め45度にスパッと切り落とされたような直線的なカッティングが施されています。
この八幡鳥居の構造と笠木・貫のバランスは、社殿建築である八幡造と鳥居の建築様式が持つ機能美とも深く共鳴しています。前殿と後殿を前後に連結させる八幡造の合理的かつ重厚な佇まいと同様に、鳥居においても無駄な装飾を削ぎ落とした武骨な力強さが表現されています。